アワノトモキの「読書の時間」
ep50-5 『生きるための表現手引き』(渡邉康太郎さん)/成長物語の呪縛を超えて/夫婦の会話は「小鳥のさえずり」でいい
2026/3/915分
エピソード再生
0:000:00
エピソード概要
<今回の選書>・『生きるための表現手引き』(渡邉康太郎さん) こんにちは、ホシノです。記念すべき第50回シリーズの最終話(ep50-5)です。前回に引き続き、『生きるための表現手引き』から、アワノさんが「断腸の思い」で選び抜いた2つのトピックについて語ります。 一つ目は「成長の物語を超えて」。私たちは「成長=善」と信じ込んでいますが、フーコーなどの哲学者は「成長は人を管理するもの」と説きます。がんサバイバーに求められがちな「感動的な克服ストーリー(ドミナント・ストーリー)」への違和感や、新人の拙い飛び込み営業がなぜ人の心を動かすのか?という話から、上手くなることだけが正解ではない表現のあり方を考えます。 二つ目は「音の交換としての会話」。著者の渡邉康太郎さんと妻・朝吹真理子さん(芥川賞作家)のエピソードです。何度も同じ話をする妻に対し、オチを知っている夫は話を遮ろうとします。そこで妻が返した「小鳥がさえずるように音を交換しているのだから、同じ話でいいの」という言葉。意味や情報の伝達ではなく、ただそこにいることを確認し合うための「音」としての会話。ホシノ家での子供への読み聞かせや、同窓会での繰り返し話にも通じる、温かいコミュニケーションの本質に迫ります。 「生きる」ために表現し、音を交換し合う。50回目の節目にふさわしい内容になったな、なんてホシノは思うのでした。